さすが王子。
カッコつけてダンクシュートまで決めちゃうのね。
名前の最後には、さま。
それに等しいルックス。
まあ王子様って呼ばれるだけあるかな。
「遥樹さま?大丈夫ですか?」
「富谷さま?富谷さま?」
先程まで叫んでいた女子が、一気に体育館の端まで移動していく。
「どうしたのかしらね。あの富谷って人。足引きずってたみたいだけど。」
足を引きずってた?
「富谷さま?どうしたんですの?」
「少し足を引きずってらしたようでしたけど?」
「大丈夫、ちょっと足つっただけだから。」
微かにそんな会話が聞こえる。
しかも王子様スマイル付き。
「そっ、そうですわよね。富谷様がお怪我なさるなんてありませんものね///」
そしてまんまとあの王子様スマイルに騙される女子達。
富谷って人も、女子から好かれて、いい気になってるんだろうな。
「いい気になってるわね。富谷遥樹。王子様スマイルなんか浮かべちゃって。」
やっぱり紅葉も分かってたのか。
あれは完全に、本物の笑顔っては思えない。ただ表だけの笑顔。
薄っぺらい笑顔に騙されるなんてこの学園の女子たちにも呆れたもんだわ。