「おい、入っていいぞ」
 

芝やんの合図で、教室の扉が開く。
 



そして入ってきたのは―――やった。






「かっこいー…」
 



クラスの誰かが呟いた言葉が全て。
 

入ってきたのは、茶髪で背の高い細身のイケメンだった。
 

あああ、新学期からついている、最高だっ。新学期万歳っ。



「須永学都。東京から引っ越してきたそうだ、仲良くしてやれよ」
 

芝やんの言葉など霞んで聞こえるほど、クラスがわきたつ。
 

なんせイケメンだ。万歳だ。


「じゃあ須永、簡単に挨拶しろ」

「はい」

 
芝やんに指示され、彼――須永学都はクラスを見渡す。


「須永学都です。中途半端な時期の転校ですが、よろしくお願いします」
 

にっこり笑顔。
 
クラスの女子の半数は、もう大興奮だった。



「うるさいぞ、女子。須永、席はそこの空いてる席な」
 

そういって芝やんが示したのは、私の隣の席だった。
 




なんてことだっ。