「うそ…」
 

視界は変わっていた。
 


背景は相変わらず森だが、私たちを囲っていた兵士たちはみんな地面に転がっていた。
 

更に目の前に立つ結ちゃんは傷一つなく立っている。木の棒のくせにつよっ。



「椎名、動けますか?」

「え、うん…」
 

結ちゃんが手を伸ばしてくれたので、つかまりながら立ち上がる。
 

服に着いた土を払う。


「椎名、悪いですがこのままここにいるわけにはいきません。今日中には抜けないと、また追手がくるとも限りませんから。走れますか?」

「走れるけど…どうするの?」
 

結ちゃんはすぐに答えず、木の棒を捨て近くにあった剣を鞘ごと拾う。
 
それから、周囲を見渡す。



「…これからの話はたどり着いてからにしましょう」

「たどり着くってどこに?」
 


思わずきけば、結ちゃんは小さく答えた。



「国に」



国?
 


その言葉に何故か頭に浮かぶのは、学都様が言った俺の世界という言葉。
 


一体何なんだろう。

ここは。
 

そこは。
 


今は。