がさっ。

 

また物音がする。
 
さっきよりも近い。
 



がさがさ。
 

違う、近づいてる?
 


離れないといけないと思った。だけど、動けなかった。
しゃがみこんだまま、体に力が入らない。
 


一番近くの草が揺れる。


「っ」
 


思わず頭を抱えて目を瞑った。





「誰か助けてっ」
 




思わず叫んだ。
 



だけど。



「お望み通り助けに来ましたよ、椎名」
 




え。
 




思わず顔を上げると、立っていたのは結ちゃんだった。

見慣れた東光の制服姿だ。
 


腰が抜けてお尻が地面に着いた。




「ゆいちゃ~~~ん」
 


情けない声が出たが、結ちゃんは小さく笑って私の隣に座り込んで背を撫でてくれた。
 

慣れた体温に、落ち着く。