「す、須永く、ん?」

「学都でいいよ」

「えと、学都君…何、かな?」
 

緊張して下がろうとすれば、逃がさないとばかりに重なる手を握られる。
 
いきなりな展開に、悲鳴を上げてしまいたくなる。悲鳴といっても嬌声だけど。


イケメンとこんなことになるとは誰だって予測できまい。


「実はね、一緒に行ってほしい場所があるんだ」

「い、一緒に?」
 

頷いた学都様の顔が近づいてくる。
吐息が肌にかかるほどの距離だ。


「そう。俺の世界に」
 

学都様の世界に。
 

一緒に。
 


その意味が頭で理解されるより前に、急に視界が光に包まれる。

何だろうこの展開。ていうか夕陽よりもましてや朝日よりも眩しすぎるっ。
 



思わず目を瞑った瞬間、ただ遠くから「椎名っ」と聞き覚えのある声が私を呼んだ気がした。