近くの公園まで全力疾走して、二人で休憩した。

「なん、で、急に、ダッシュな、わけ?」

「いや、そ、それは、もう、壮大な、りゆ、が、ありま、して」
 

息も絶え絶えにベンチに座り込みながら、二人で話す。
 

とりあえずまだ結ちゃんの影はない。
 

入り組んだルートを選んで進んだ甲斐がある。実は穴場な公園なのです、ここ。


「それって、やっぱ向井結さんが理由」
 

答えの代わりに苦笑すると、須永様は苦笑を返してくれた。
 


あはは、見抜いていらっしゃる。
 

軽く息を吐いて、背もたれに身を任せる。
夕焼け空は、綺麗な赤とオレンジ色の中間色。雲までその色に染めて広がっている。
 

綺麗だなと思う。


「椎名」

ぼんやり空を眺めていて、いつのまにか真横に須永様が座っていて自分の左手と須永様の右手が重なっているのに気づいて、急に胸が高鳴った。
 


距離が、顔が近い。
 


頬が熱くなるのがわかる。