私は、普通の人間だ。



何かおかしな特殊能力や類まれなる才能や、一目で他と違うとわかってしまうような恵まれた容姿とか肌の白さとか長い手足とか、そういったものも備えていない。




どこにでもいて。


どこにでもいる。



ありふれた、際立つところのない、平凡な人間だ。



生まれ育ったこの町で学校を卒業し、何かの職業について、誰かと結婚して、全うな人生を終えるだろう。

だってそれが、普通だもの。


疑いようもなく、疑う余地何てさらさらなく。






そう思っていた。ずっと。