何気なーく廊下を一人で歩いてると、向かい側から来た橙磨。
クラスで作ったTシャツに、バスケ部のジャージを履いてるなんともゆるーいかっこ。
びっくりさせてやろ!
「とーまっ!」
「お~!誰かと思ったら結香じゃん!髪結んでるんだ」
「そうなの!千秋がやってくれて、お揃いなんだよ♪」
「それはよかったな!」
………いやいや、こんな展開じゃないでしょ!
こうさ、お世辞でも可愛いの一言ぐらいないわけ!?
何も言わないなら……
「どう?可愛い?」
「すげー可愛いよ」
「へっ?」
「ん?可愛いな~って。髪も化粧も女の子らしいし」
そんな真顔で言われたら逆に照れるんだけど………。
自分でも聞こえるほどドキドキして、全身が熱くなる。
頬っぺた熱いよ!
「変な男に捕まんなよ~」
「つ、捕まらないよ!」
「俺助けられないし。売り歩き断った女の子のことなんて♪」
「絶対根に持ってるでしょ」
あたしの頭をポンポンと撫でて行ってしまった。