文化祭の準備も着々と進んで、あと1週間。


基本的に駄菓子屋をやる俺らのクラスは他クラスに比べてやることも少ないわけで。


準備がない分、早く部活に来れる。


結香もそうらしくて、いつも俺が体育館に入ればせっせと仕事を頑張ってるし。



「橙磨ー。それにしても、この時期の部活って人いねぇよな~」

「龍太さんもいないし、静乃さんもいない。部活やってる気がしねぇもん」

「マネちゃん一人大変そうだよね。結香ちゃん」

「あぁ。でもマネージャー二人までって制限あるからなー」


なんとかしてやりたいけど、どの部活にも共通する規則を引っくり返すのは難しい。


手伝ってやろっかな。


俺らもやることないし。


そう思ってボールをカゴに投げ入れると、後ろから聞こえてくる拍手。


「すごーい!さすがバスケ部!」

「愛理……」


部活にまで来なくていいのにな……。


こんなこと言ったら、いじけてめんどいから言わないどく。


「ねぇねぇ!シュート打てる?スリーポイントってヤツ!」

「いや、俺あれ苦手だから無理。日向なら出来んじゃね?」

「日向くん?……あ、でも橙磨の幼なじみちゃんと話してるよ~」


くっそ、アイツ逃げたな!


せっかく愛理のこと擦り付けようと思ったのに!!



ダメだ。


部室逃げよ。