【橙磨side】



試合終了の合図の耳をつんざく音。


それも今はうるさいだけ。


点数を見てても変わることはなくて、97対89で俺らの完敗。


相手校の喜びの悲鳴がツライ。


せっかく、ここまで来たのに負けた。


1位の景色、結香に見せてやれなかった……。



「何しょげてんだ。すげーじゃん?強豪相手にこの点差だぜ?…喜べバカ」

「痛い!叩かないで下さいよ〜…龍太さん」

「だって、橙磨が死んだ顔してっから」


笑ながら俺の頭をぐしゃぐしゃ撫で回す龍太さんだって、きっとツライ。


だってもう、これで終わり。


コートから泣いてるメンバーを見るのは意外と傷心キツイわけだ。


俺らだって勝ちたかったし、もちろん悔しい。



「じゃ、今日はもうお前ら帰っていいから。明日部活兼反省会すっから、ちゃんと来いよ」


泣いてるヤツらに普段通りの龍太さんは、なんつーか……すごい。


これが主将の心の広さと我慢強さってヤツか。


「お疲れ様です、龍太さん」

「おー、サンキューな橙磨。まぁ、俺ら3年はこの後学校なんだわ。テキトーに解散させといて」

「…はい」


無理した笑顔の龍太さんには、それ以上何も言えなかった。