見えやすいとこ……とは言っても神社の石段を登った先。


他にも何人か人はいるけど、俺と結香は一番上の石段に座った。


小学生ん時から結香と花火見る時はここ。


「花火まだかなぁ〜?もう8時になったのに!」

「もうすぐだってー。お前、変わんないな!待てないところ!」

「待てるもん」


ぷいっと拗ねて横を向くから頬を摘まんでやった。


結香が大きく笑ったと同時に、ドン!!と真っ暗闇に打ち上げられた大輪の花火。



久しぶりに見たけど、やっぱ花火ってキレイ。


「花火ー!!やっとだー!キレイ!」

「だな〜」


キラキラした笑顔で花火を見上げる結香を俺は目に映す。


花火は好きだけど、結香の方が俺にはよっぽど興味がある。



「橙磨〜!あれ、なんの形!?」

「え〜……ネコじゃね?」

「あっ!ハート!!可愛い〜♪」

「最後まで聞けよバーカ」

「え、何!?」

「なんでもな〜い!」


花火のデカイ音のおかげで、何を言っても聞こえない。


だから俺は結香にちょっと意地悪するんだ。