練習が終わって体育館を出れたのは、もう夜の7時半。


祭りに着くのは8時ぐらいかな?


バスを降りて結香が歩いてくのは、神社とは真逆の家へ帰る道。


「結香?」

「今日は家帰ろ?2試合もしたら疲れてるでしょ」

「祭り行くためにせっかく勝ったのに〜!ほら、行くぞ!」


結香の腕を引っ張ると躊躇した感じで、なかなか進まない。


「……疲れてないの?無理しないでよ…橙磨」

「疲れてるけど……俺に彼氏らしいことさせてくんね?俺は結香の幼なじみじゃなくて彼氏だから」

「……うん。そうだよねっ。……ありがとう、橙磨」


ふわっと笑う横顔にまた結香のこと好きだな…って。



神社への道を行くと、たくさんの人と賑やかな声と太鼓の音。


結香と二人で来たのは小学生以来だ。


「ねぇ、橙磨!来て早々だけど、花火8時から始まるって!」

「マジ!?ほんとだ!」


結香が指を差す祭りのポスターに、デカく書かれた『花火』の文字。


見たいなぁ〜花火。


「あたし花火見たい!」

「じゃ、見えやすいとこ行こ!」



指を絡めて涼しい夜道を歩いた。