【橙磨side】



8月の夏真っ只中、部活帰りの蒸し暑い夕方。


隣を歩いてた結香が立ち止まって商店街に貼ってあるポスターを指差した。


「橙磨!」

「ん〜?」

「お、お祭り行きたい!!」

「へ〜……祭りか!いいよ、行こ!あっ……」


日付けを見ると試合の日。


しかも、その日は2試合こなさなきゃダメな日で。


結香もそれに気付きて苦笑した。


「あ……試合、だよね!この日!やめよっか!」

「勝ったらな」

「へ?」

「勝ったら祭り行こっか!その代わり負けたら、また来年な?」

「うん!やったー♪」



スキップして前を歩く結香が可愛くて、俺も並んで手を繋いだ。


好きだな〜ほんと。


「小学生ん時に橙磨と毎年行ってたよね!あの神社のお祭り!」

「行ってたなっ!結香が金魚掬い下手くそな件について話す?」

「話しません!ひどいな〜」


中学に入ってから一緒に祭りに行かなくなった。


それは俺が彼女と行くようになったから。


でも覚えてるのは結香の可愛い浴衣姿。