【結香side】
ポカポカと春特有の日差しが部屋のカーテンの隙間から射し込む昼下がり。
ベッドでゴロゴロしながら、お気に入りの少女漫画を読む。
春休みってことで宿題も終わったし、ゴロゴロし放題♪
ページをめくると、ちょうどキスシーン。
優しく抱きしめられて、後頭部をぐっと押さえられてるような……
優しいけどちょっと強引なキス。
漫画だけどドキドキする……。
バンッ!!!
部屋の扉がいきなり開く衝撃音で、体がビクッと揺れた。
誰!?
「結香〜!宿題見せて!頼む!」
「と、橙磨!?なんで勝手にあたしの…女子の部屋入って来るわけ!?」
「え〜だって、おばさんが勝手に入って良いって言うし♪」
「だからって…!はぁ〜……宿題写したら早く帰ってよー」
「分かってるって〜」
読みかけの少女漫画を開いたまま、表紙を上にしてベッドに置いた。
あたしはファイルを漁り宿題を出す。
古典、数学、化学、それから日本史。
宿題をまとめて振り返ると、橙磨があたしの読みかけの少女漫画を読んでいた。
しかも、ちょうどキスシーン!!
「ほら!宿題!返してよ!」
「結香って少女漫画好きだよなぁ〜。サンキュー」
漫画を奪ってあたしはまたベッドに座り読む。
橙磨は小さなテーブルで、あたしのピンクのシャーペンを握りひたすら写す。
……ったく、ちゃんと自分でやりなさいよ。