2月の寒い体育館裏。


帰る準備をしてマフラーをぐるぐるに巻いてる愛理が走って来た。


「どうしたの橙磨〜!こんなに寒いのに体育館裏?愛理寒いよぉ!」


寒いなら、その過剰に短いスカート丈直せよ……


なんて言えないから、苦笑気味に「ごめん」と謝った。



「何か愛理に話したいことあるんでしょ〜?」

「あぁ。……いきなりなんだけどさ、俺ら別れよう」

「う、嘘でしょー?変な冗談やめてよっ!ドキドキするじゃん!」

「いや、マジ。俺、本気だから」


寒い空気に重たく流れる沈黙。


たった数秒が、何分にも感じる。


「嫌よ!!絶対に嫌!だって…まだ橙磨のこと好きなのよ?なのに、どうして……」

「ほんと勝手でごめんな。でも、今俺に必要なのはお前じゃないから」

「最悪っ…。もう橙磨なんて知らない!あの幼なじみと勝手にすれば!?」



泣きながら走ってったアイツ。


後味はかなり悪いけど、これで俺と愛理は完全に終わった。


かじかむ指でスマホを操作して、電話帳から“愛理”の名前をそっと消した。



次は……このよく分からない感情の処理の仕方を考えよう。


結香のことを思う度になるこの感情を。