部活が終わると、あたしはすぐに制服に着替えて帰る準備をした。


まだ体育館で自主練をしてる橙磨に見付からないようにそーっと体育館を抜け出す。


だけど……気付かれちゃって。


「結香〜!帰んの?」

「あー…うん。帰るよ」

「もう少し待てる?もう外暗いし、危ないから一緒に帰ろ?」

「ごめん。用事あるから早く帰らなきゃないの…」



用事なんてないよ。


だから、家が隣の橙磨にすぐバレるってこんな嘘。


橙磨に背中を向けると、ガコッとボールがカゴに入る音。


「んじゃ、俺もそろそろ帰る」

「は、はぁ?自主練してなよ!」

「俺が結香と帰りたいんだけど。それでもダメ?」

「…意味分かんない。そもそもアンタ彼女いるでしょ?簡単にそうゆうのやめなよ」


ほんとは、泣きたくなるほど嬉しかった。


けどね……あたしのすぐ横をまたあの子が通り過ぎて橙磨に抱きつく。


「橙磨〜♪一緒に帰ろ〜?」



愛理ちゃんには敵わないんだよ、あたし。


悔しいけど、完全に気付いちゃったから認めるね。


橙磨のこと好き。