静乃さんにだったらバレてもしょうがないよね。
俯きながら静乃さんからの言葉を待つ。
なんて言ってくれるかな……。
「好きって簡単よね、口に出すの。好き好き…って」
「そうですね…?」
「でも本当に伝えたい人には伝わらない難しい言葉だったり。……私もその友達の気持ち分かるわ」
パチっとあたしと目が合う。
あ……これは完全に静乃さんは、あたしのことだって気付いてるな。
「静乃さんも好きな人いるんですか?」
「…結香だからいっか。いるよ、好きな人」
「ちなみに〜……どんな人なんですかね?」
「ふふっ……ちょっかい出してくるクセにバスケバカで腹立つけど、アイツがいないと私がダメになるから。それぐらい好きで必要なの」
「良いですね。あたしからすると、その人とは相思相愛に見えますよ?」
「そうかしら」と静乃さんは笑って記録を片付ける。
きっと………その相手は宮田さんか。
なんでだろうね?
好きなのに、近ければ近いほどすれ違って距離が生まれてしまう。
どうしてこんなに苦しいの?
もう……嫌なのに諦めるのは、もっと嫌だ。
「静乃さん……あたし苦しいです」
「私も」