【結香side】
「で、姫川は高校決めたか?」
「だからまだ未定ですってば」
風でカタカタと音を立てる窓。
今日は腹立つほど夕日がキレイ。
窓際の席に座るあたし姫川結香と、ハゲかけたおっさんの担任。
所謂、中3のあたしは進路指導のために二者面談中。
「もう11月だぞ。来月には願書を書かなきゃないのに…はぁ~…」
溜め息つきたいのあたしだっつーの!!
将来やりたいコトもないのに、高校決めろとか無理だって。
それに同じこと何回も、何十回も進路指導で言われてるし………。
こっちは早く帰りたいんだって!!
「いいか?ちゃんと親と相談して高校決めて来い。姫川の成績なら、上位校だって狙える」
「分かりましたー」
「ほんとに分かってるのか!」
「分かってますよ……」
耳にタコ。
カバンを持ち上げてかったるく教室を出た。