突っ立っている私にあの子は声をかける。 ―どうしたの、帰らないの。 ―うん、待ってる人がいるの。 待ってる人って、誰だろう 自分でも分からない。 ―そっか。じゃあね、また明日。 ―うん、またね。 あとほんの少したてば夕立がくる。 あの子は傘を忘れたらしいから、きっとずぶ濡れになる。 傘を貸して、私が濡れればよかったのに。