もう一口、ビールを流し込んでから、口に塩気が欲しくてジャーキーカルパスの袋を開けた。
一つ放り込むと身体に悪そうな脂の味がした。
でも、最高に生きてるって感じがするのだ。
ソファに横向きで座ってテレビのリモコンを手にとると、マナーモードにしていた携帯が鳴った。
弾かれたように上体を起こす。
昔から私は電話が苦手で、マナーモードの振動音を聞くと心臓が縮まる。
疚しいことがあるわけでもないのに、よくない知らせが届きそうな気がするからだ。
ビールの苦味とジャーキーカルパスの胡椒味が口の中に残っている。
唯一の愉しみを邪魔された恨みを顔に滲ませながら、携帯の画面を見た。
……知らない番号だ。
気味が悪い、とまだ震え続ける携帯をクッションの下にしまい込んだ。
早く止まれ。