「いってー、離せよ馬鹿っ尻尾が千切れるだろ!!」


「痛くなければ折檻にならんだろう」


「だからって~~~」



どうやらつかんでいるのが尻尾らしい。

長い黒々とした尻尾から逆さにぶら下げられているのは、どうやら小さい獣のようだった。

猫に近い外見に背に小さい羽のようなものがついていて、それをばたつかせながら小さいのに鋭い牙が並んだ口から人語を発して騒いでいる。見た目はまるで魔物のようだが、騒いでいる様子がうるさい子供と変わらずどこか気が抜けてしまう。



「今日の食事は抜きだ」


「は~~~っ!?何でだよっ」


「何度も言っているだろう、私は騒がしいのが嫌いだ。騒いだら叩きだすと言っていた」


「でも俺がいないとお前困るだろ」


「ああ、そうとも。だから仕置きですませてやる。ありがたく思え」


「人間の癖に人間の癖に人間の癖に~~~~」



獣が騒ぐ。


しかし構う様子もなく、フードをかぶった頭が男たちへと顔を向ける。




「誰だ」



警戒しているように、鋭い声だった。


茶髪の男が前に出て、答える。