「殿下っ?」


「リー、何かいる。お前たちも気をつけろ」


「何!?」



四人も再び剣を抜く。


金髪の男より前に出て、剣を構える。



「ははは、増えた増えた。でも無駄無駄。俺の姿、見えてないじゃん」



からかうような笑い声がまたきこえる。



「何だ!?」

「耳元で声がしたぞっ」



それぞれ背後を見返しながら四人は、おたおたと戸惑う。


金髪の男は再び舌打ちをして、森を睨んだ。



「どこだっ!?いるなら出てこいっ」


「ここだっつーのっ。間抜けな人間ども」



また耳元で声がした。


周囲を見回してみたが、やはり何もない。



「ひゃひゃひゃひゃっ。まだわかんねーのかっ?ここに」
「うるさいぞ、馬鹿者」



がさがさと森の中から音がして、五人はそろって剣を構えた。



がさがさと音を立てながら現れたのは、黒い外套を羽織った人間だった。目深にフードをかぶり、長い外套で足元まで覆っており、容姿は全く分からない。


だが、長い外套の中から伸びた白い手の先に、黒い塊を掴んでいた。