豪華な赤絨毯の廊下を進み、案内されたのは執務室だった。
入って部屋の奥に立派な机、そしてその手前に向かい合う二対のソファ。その中央にローテーブル。どれも上質のものだ。
何度か解呪の依頼を受けるうちに王城へと招かれることはあるが、いくら説明を聞いてもその材質や高級感には馴染めない。
抵抗はあるものの、連れてこられてあれほどの期待を背負わされては逃げるにも逃げられない。
カーズはソファに座り、出された紅茶に口をつける。香り、味、共に上等な部類だ。ますます落ち着かない。
適当に横にほおっておいた荷物の横掛け鞄の頭から顔を出した獣が、居心地悪い様子もなく興味津々に辺りを見回している様子には苛立ちすら感じた。
そんなカーズの正面に宰相、王子が座る。その後ろに騎士男、王子のツレだった茶髪のリーが立つ。察するに、この茶髪男は王子の側近なのだろう。
一息ついたところで、宰相が口を開く。
「改めまして、私はザグラス王国の宰相、レオニート=ベルギル公爵と申します。王子殿下はご存知ですね?こちらは王子の側近でガヴリイル。反対が騎士団のアキム=ハイングです」
自己紹介され、カーズは荷物から顔を出した獣と目を合わせる。正面からこられてかわせるはずもない。
怠いとは思うが、カーズはその気持ちを押しつぶす。
「解呪師のカーズだ。これは獣。名前は特にない」
獣がけけっと笑うと、宰相殿は気味悪そうに表情を歪めた。それを面白がって獣が宰相に近寄ろうとするのを、カーズは尻尾を掴んで止める。
怯えた宰相殿では、冷静な話は無理だ。
代わりに王子が口を開く。
入って部屋の奥に立派な机、そしてその手前に向かい合う二対のソファ。その中央にローテーブル。どれも上質のものだ。
何度か解呪の依頼を受けるうちに王城へと招かれることはあるが、いくら説明を聞いてもその材質や高級感には馴染めない。
抵抗はあるものの、連れてこられてあれほどの期待を背負わされては逃げるにも逃げられない。
カーズはソファに座り、出された紅茶に口をつける。香り、味、共に上等な部類だ。ますます落ち着かない。
適当に横にほおっておいた荷物の横掛け鞄の頭から顔を出した獣が、居心地悪い様子もなく興味津々に辺りを見回している様子には苛立ちすら感じた。
そんなカーズの正面に宰相、王子が座る。その後ろに騎士男、王子のツレだった茶髪のリーが立つ。察するに、この茶髪男は王子の側近なのだろう。
一息ついたところで、宰相が口を開く。
「改めまして、私はザグラス王国の宰相、レオニート=ベルギル公爵と申します。王子殿下はご存知ですね?こちらは王子の側近でガヴリイル。反対が騎士団のアキム=ハイングです」
自己紹介され、カーズは荷物から顔を出した獣と目を合わせる。正面からこられてかわせるはずもない。
怠いとは思うが、カーズはその気持ちを押しつぶす。
「解呪師のカーズだ。これは獣。名前は特にない」
獣がけけっと笑うと、宰相殿は気味悪そうに表情を歪めた。それを面白がって獣が宰相に近寄ろうとするのを、カーズは尻尾を掴んで止める。
怯えた宰相殿では、冷静な話は無理だ。
代わりに王子が口を開く。