世界は呪で満ちている。





呪は、常に人と共にあった。
呪というのは、人の強い感情――とりわけ負よりの感情に端を発して生まれるものであるからだ。



例えば強い妬み、嫉妬。

例えば強い羨望、憧れ。

例えば強い愛情、憎悪。



そしてそれはいつの時代か、相手に害をなすモノになって伝わる手段が与えられた。




それ即ち、呪。





強い憧れの相手から、その希望を奪うような。

深く愛する人から、その自由を奪うような。



相手を時に拘束し、束縛し、絶望させ、突き落とす。
そんな呪が、世界中で実しやかに充満している。それが、この世界の真実だ。




誰もかれも、自分以外の誰かからの強い感情から逃れるすべはない。
誰もかれも、呪からは逃れられない。





それが、世界の真実。



そしてその真実を打ち砕くことができるもの――呪を解くことができるもの、それが解呪師。そう呼ばれる者たちだ。