しばらくして、お母さんが病室へと入ってきた。
「あら、誰?この子」
今日はいってきたばかりの颯人をみたお母さんが言った。
「今日来た颯人だよ」
「どうも」
颯人はお母さんに頭を下げる。
「まぁ、じゃあ一緒に食べる?りんご」
お母さんの持っていた袋の中には、真っ赤なリンゴが数個入っていた。
「あ、お言葉に甘えて」
お母さんは、持参していた果物ナイフで、リンゴの皮をするするとむいていく。
そして、うさちゃん型にしながらこれまた持参していた皿に盛り付ける。
「はいどうぞ」
フォークでサクッとさして食べる。
「リンゴ美味しい!」
私の言葉につられて、颯人もリンゴを口にする。
「ん、うまいっ!」
私と颯人は、競うようにどんどん食べていく。
「颯人食べ過ぎー!」
「瑠璃のほうが食ってるぜ?太ってもしらねーよ」
「なっ!太らないもんっ!」