「瑠璃が決めていいよ」


「私が・・・?」


「瑠璃が頑張って生んだんだ。名前を決める権利は瑠璃にある」


真剣な目。


颯人のこの目も、私が惹かれた理由の一つ。


「けど、颯人だって親なんだから・・・」


「いいから。瑠璃が決めて?」


颯人の優しい顔に、なにも言い返せないくなる。


私が・・・・名前を決めるんだ。



女の子が生まれたら、絶対にこの名前にしようと決めていたものがある。


「凛華(リンカ)」


「凛華?」


「そう、凛華。あの子の名前は凛華よ」


赤ちゃんができたと分かった時から決めていた。


「凛々と、華のように可愛く育ってほしいから。・・・・・・・・私の分まで、生きてほしいから」


「・・・・・・」


「そういう意味で凛華!」


「いい名前だな」


ふっ、と笑う颯人の顔は、どこか寂しげだった。


最後の一言は、言っちゃいけなかったかな・・・・。


でも、颯人にはちゃんと分かってほしい。


私の先は長くないんだって。