「私にも、ちょっとくらい夢を見させてほしい」


颯人の顔なんてもう見れてなかった。


私はいつの間にか自分にかかっている布団を眺めていた。


「空はどこまでも広くて青くて」


颯人が話し始めた。


「俺ら人間なんてちっぽけに感じるんだ」


空が青い、広い。


それは知っている。


だけど、ちっぽけ・・?


考えているうちに、すぐにまた颯人が話し始める。


「太陽は眩しくて、木々は緑で綺麗で、その中を思いっきり走り抜けるのは爽快感があるよ」


思いっきり走り抜ける・・・・。


「楽しそうだね・・・・・・」


何て答えていいか分からなかった私は、それだけしか言えなかった。


「瑠璃にもそのうち教えてやるよ。外の世界の楽しさってやつをさ」


私だって教えてほしいよ。


だけど、もう外には出られないと思う。


そう言いたいのを、胸の中でぐっと堪えた。