大形さんたちに連れて来られたのは、生徒や先生が滅多に通らない裏庭だった。

「莎々原望美!あなた、最近奈津様と一緒に居ますね」

「……っ」

ここで『はい』と答えたら、絶対何か大変なことになる予感がした。

「一つ言っておきます。奈津様はあなたみたいなブスとは、関わりを持たない事を望んでいます。ですから、これ以上奈津様に近づかないでください」

昔もよく別の理由でこうして呼び出されたことがあった。

でも、さすがに今回は腹が立った。

どうして大形さんに、そんなことを言われないといけないのか分からなかった。

「意味が分からない。奈津がそんな事望むわけないじゃん。勝手に決めつけないでよ。奈津は、私たちだけの王子様とかでも思ってるの?!」

「な、奈津様を呼び捨てにするだなんて」

大形さんの周りにいた子たちが、小さい声で陰口でも言うよに、ぐちぐちと言い始める。

それを見た私は、更に腹が立った。

「呼び捨てにして何が悪いの?」