「ちょっと、莎々原望美って言う子は居ますか?」

「え?」

教室の入口付近で名前を呼ばれ、そちらへと目を向けた。

するとそこには、『☆NATU様LOVE☆』と書かれたネームを胸に付けた、奈津のファンクラブ団長、大形小姫(おおがたこひめ)が堂々と立っていた。

「げっ!あの子は……」

大形さんの姿を見た沙弥佳が、嫌そうに顔を引きつらせた。

「あの子は?」

そっか、晶は知らないんだっけ?

「莎々原望美、聞こえているんですか!?」

「あ、はい!」

大きな声で名前を呼ばれ、とっさに立ち上がってしまった。

「ちょっと、こちらへ来て貰えないかしら」

え、笑顔が凄く怖い……。

背後に黒いオーラが見えるのは気のせいなのかな?