「そうだったのか?こんなにすごい絵なのに、褒められないなんておかしいって」

小早川君は、そう言ってくれた。

美術室での聞かれなくて良かったと思い安堵する。

「あ、そうだ莎々原」

「なに?」

小早川君は、サッカーボールを地面に置くと私の隣に座った。

「お前さ、この町に来る前の名字って花崎だったのか?」

質問の内容に驚き、目を見開く。

何で知ってるの?

ふとそう思った時、昨日のことを思い出し、小早川君から視線を逸らす。