「はい、とーちゃく」
連れて来られたのは、街外れにある大きな工場跡地。
「ここ、俺らの溜まり場」
そう言って彼は中へと入っていく。
「総長、おかえりなさいっ!」
「雨の中、ご苦労様ですっ!」
彼に向けられる視線は、尊敬そのものだった。
本当に、総長なんだ…。
「俺が総長なんて、疑ってたやろ?」
「えっ、」
なんで、わかるのよ。
「美園ちゃんって、わかりやすいな」
「っ…」
「まあ、いい。それで幹部室があるけど、もうここまで来たんなら、後戻りできんからな?」
「わ、わかってます…」
後戻りできないのは、あの場所から逃げてきた時から覚悟していた。
この先どうなるかなんて、わからない。