嘘をついているような、そんな雰囲気は無くて。

だけどどこか、とても怪しい。




「ほな、行くで」

「ちょっと、人違いじゃっ…」

「そんなことあらへん。それともこのまま東から追っ手が来るの待っとくか?」

「それはダメっ…」

「せやろ?」

「でもっ、」

「あと早よ行こ。俺も目立つと困るんや」





逃すまいと強く腕を掴まれ、駅のホームを出る。




「雨ひっどいなぁ…走るで」

「え!?」



土砂降りの雨の中、二人傘をささず、駅から走る。



駅から少し離れたところに停めてある、黒い車。




明らかに怪しげな車だけど…。




「あーー濡れた濡れたっ!」

「…………」




やっぱりお目当は、この車だったみたい。