ヒューっと、息が詰まるかのようだ。




「あたし、ですか」

「そうや」

「なんで、あたしが…」

「トラブルメーカーの元姫が東から逃亡したって言うのがすぐ広まってん。俺らの界隈、東も西もトップの界隈っちゅうんは、情報が入るん早いからな。

だから迎えに行ったんや、美園ちゃんを」




あの日、

あの時、

あの雨の日。



あたしが西の街にたどり着いた時、星矢さんがいたのは、運命とか、必然とかではなくて、待ち構えていただけ。



ーーそんなこと、わかってた。


あれは偶然じゃないって、心の底では思ってた。





「逃げ出してきたトラブルメーカーの元姫と、連れ戻そうとするトラブルメーカー。

こんな混乱を利用するんは、この社会では当たり前や」





だから、あたしを利用した。


あたしがこの街に来なかったら、また違ってた。