その噂を聞いた時私の心は引き裂かれるように痛かった。

私はその夜泣き明かした。

その時、ようやく分かったんだ。

ーー私、北川くんのこと好きなんだって。

でも、私は柊南天さんよりも可愛くないしスタイルも良くない。

柊南天さんは性格もいいらしい。

そんな人に勝てるわけないと私はこの想いに蓋をした。

そうやって私はまた新たな恋を始めようと意気込んだ。

でも、神様は意地悪だ。

そんなこともさせてはくれない。

次の日私が学校に行くとロッカーのような靴箱に手紙が入っていた。

私はその手紙をとって教室に入った。

教室に入ると祐奈が駆け寄って来てそれなに?と聞いて来た。

私はゆっくり手紙を開いた。

するとそこには、


“好きです、付き合ってください。”と書かれてあった。

最後には夢見 隼人(ゆめみ はやと)と書かれていた。

確か夢見くんは同じクラスのムードメーカーだ。

でも、北川くんを好きだと自覚した今、付き合うことは出来ない。

私は放課後、返事をすることにした。

『あっ、神田さん。もしかして返事?』

『あっ、はい。返事なんですけど…。』

うわわっ、どうしよう人を振るのとか初めてだから何て言えばいいんだろ?

『えっと…、神田さん?』

『あっ、えっと……


…ごめんなさい、他に好きな人がいるので付き合えません。』

『まぁ、そっかぁ。分かったよ。』

『ごめんなさい。』

『いーよ。』

『じゃあ。』

私が下駄箱に行くと偶然北川くんが居た。

『あっ、神田さん。』

北川くんはすこし気まずそうに見えた。

『どうしたの?』

『あの、えっと神田さんって好きな人いるの?』

『えっ?』

私は驚いた。

柊南天さんと付き合ってるはずの北川くんがそんなことを聞いたから。

『いや、さっき偶然聞いちゃってさ。』

『えっ?そうなんですか!?』

私は焦って居た。

もしかして気まずそうなのって私が北川くんを好きだって気づいたから?

だとしたらやばい!

『あー、いやなんでもないや。』

『あっ、そうですか。』

ホッとした。

『じゃあね、部活頑張れ。』

『北川くんも頑張って!』

そう言うと北川くんはニコッと笑って去って行った。

そして、私は作法室へと足を伸ばした。