「なんか雰囲気やばいかもって思ったとき、

リョウが屋上に現れてさ、私を連れ出してくれたの」

これもベタだけどねー

と言うミチルさんは、そのときのことを思い出しているのか、口で言う割には表情は穏やかだ。


「でも、いつもは私がリョウのこと怒ってばっかなのに

そのときだけは私に、あんな男の呼びだしに

ノコノコついてってんじゃねーよって怒ってくれたリョウに

思わず、ときめいちゃったよね。

いつもは弟並みのリョウが、いきなり男になるんだもん。」


その話をしているときのミチルさんはとてもきれいで、その横顔に見入ってしまった。