近づいてきた男性は、有無を言わせず私をワゴンのほうへと引っ張って行く。


「りょ、リョウさん?!」

ワゴンから降りてきたのは、海の家で会ったリョウさんだった。


「ごめんね。理由も聞かずに。でも時間ないんだよね。

だからってこんな暗いなかアキちゃんひとりでいさせるわけにもいかないからね。

誘拐されて、食べられちゃう。」


そう言いながら私を無理やりワゴンに乗せると、

「はい、しゅっぱーつ!」

リョウさんの掛け声で車が動き出した。


「わわっ」

「ごめんね。ミチルの運転荒いからシートベルトしてね」