「お前、何やったかわかってんのか」
「…なに?」
「妊娠してるやつの腹蹴ったんだぞ
何もなかったからよかったけど、いやそれでもよくない
もう、関わらないでくれ、エリカ」
なんでヒロちゃんあいつをかばうの?
あいつ、ヒロちゃんのこともてあそんでたんだよ?
二股かけられてたんだよ?
「………バーカ」
「は?」
ダメだって
私は
ヒロちゃんを慰めたくて
優しいヒロちゃんの代わりにあいつのこと怒ったのに
ここで
ヒロちゃんに嫌われたら…
「はは、バカ、大バカ
中絶するんだから、関係ないよね
アミさんだってヒロちゃんとの赤ちゃん最悪って呟いていたよ
だから言ったじゃん、ヒロちゃん遊ばれてるって
ぜーんぶ私の言う通りだったよ?
ねえ、ヒロちゃん
そんなに私が嫌い?
私、ヒロちゃんのことね、大好きだったよ
だけどねもう、ダメ
嫌い、すごく嫌い、心底嫌い、一番嫌い
お前の彼女も、お前も、みんな大バカのクズだよっ!!!」
「だまれよっっ!!!!」
私はヒロちゃんに背を向けて部屋に閉じこもった。
ヒロちゃんの声が家中に響いていた。
よかったね、家に人いなくて
だけど、あまり叫ばないでよね
近所迷惑じゃん
ちょうど土日で助かった。
気持ちを落ち着かせるには時間が必要だったから
2日色んな思いが交錯したけれど
月曜日の朝にはなんとか落ち着いた
まだ心の奥がどんよりしているけれど
まあ、いい
もう何もかも終了
アミさんはヒロちゃんとの赤ちゃんを中絶して
ヒロちゃんは
アミさんに別れを告げられ
私はヒロちゃんを傷つけて
ヒロちゃんは私を嫌いになって
それで終わり