私は訳がわからずキノに引っ張り回される。



「はい、右、左、ここでターン!」


「おわ、ちょ、無理だってば!」


「いいからいいから、笑って、ほら、踊るんだよ」


「わ、わ、わ、ちょっとーー!!」


「いいよいいよ!さすがタカ、飲み込みが早いぞ!

前、左、ターン!!」


「ターンは無理だってばーーー!!」



ほとんど引っ張り回されてる状態でキノにぐるんぐるん回されてる目が回る。


だけどキノは手を離してくれなくて

私はされるがまま足元ばっかり見る。



ああ、こういう気持ちか


自分よりうまい人相手だとついていかないとって思って足を見るのか。


つまり、


私よりキノが上手いってことを暗に示してるわけ!!?



「タカ、回って回って」


「も、やめ、やめてくれ、」



キノは余裕で楽しそうに笑っている。

この笑顔はきっと私だけのものだ

…そう思っていいよね


何度も何度もキノの気持ちを疑った

疑ったけど気にしてないって言い聞かせて

それでもやっぱり気にしていて



大好きだ


なんでか知らないけど



あり得ないくらい

キノのこと大好きだ。




「……………タカ?」


「え?」



カーテンがはためいた気がした。

キノの顔が見えなくなった。


唇が
暖かみを帯びて


たった一回

予期しない心臓の高鳴りを感じた。