好きだ


好きだよ


好きだけど





もう、

お別れしなくちゃいけないね。





いつでも会える、なんて。

タカを好きな人は溢れるほどたくさんいるのに、
そのなかの一人の俺が、遠く離れたところに行ったら、


タカは、きっと、すぐ忘れてしまうんじゃないか。



俺が居なくなっても、

また、友達と、楽しく遊ぶだろうし、なにも変わらない日々を送るんだろう。



タカは、そういうやつだ。



だけど、俺は、どうなんだろう。



今の楽しい生活は、ぜんぶ、タカのお陰だと言っても過言ではない。

極度の人見知りの俺を、ただの人見知りにしてくれた。


たくさん、遊んでくれた。

たくさん、笑顔をくれた。

たくさん、優しさをくれた。



耐えられない。


きっと、耐えられない。






こんなことなら、

もういっそ、嫌われてしまった方がスッキリする。



簡単に忘れられるくらいなら、


嫌なやつって、いつまでも忘れられない方が、いいんじゃないか。



こんな考え方はひねくれすぎてるのかな。



嫌だな。



俺は、こんなに、


タカが、好きだ。





「あ、終わったの?さっさと課題やっちゃおうよ!」


タカの部屋に入ると、そこには、いつもの笑顔を浮かべるタカがいた。

俺は、息を飲んだ。


無意識の領域で、本能が俺に訴えかけた。

自然に、しろって。



「うん。やろ」



いつもより早く課題が終わった。

たぶん、会話がなかったから。


俺も話さなかったけど、タカも話さなかった。

思った以上に、集中していた。



わからなかった問題も、よく見たら解けてしまった。



ああ、そっか。



俺は、深く考えないで、いつもタカに教えてもらっていたんだ。

タカに聞くために、取っておいたんだ。



我ながらバカだ。



こんなバカなこと、今気づくなんて…





「俺、終わったから寝るね」

「あ、うん。ねえ」

「なに」

「居なくなっちゃうの?」








聞いてたのかよ。