責任のありどころを探しても、きっとそれはなんの意味もなくて、

過去に起こったことはもう戻せなくて、

私は、なにがあっても、いまの日々を過ごさなくちゃいけない。


今の感情をなんて言うのかな。

開き直り?

もう考えるのが嫌になってきたみたいだ。





「そうだね」


「え?」


「マヒロくんと居たらきっと楽しいだろうな」


「はは、そう?」


「もう悲しい想いしなくていいね」


「そこらへんは任せて」


「きっと、キノなんかより、ずっとずっと…いいよね」


「キノと比べられんのは癪だな」


「マヒロくんは頭いいし、カッコいいし、優しいし、キノなんか絶対勝てない」


「…………」


「…………だけど、」




また、泣きそうだった。

だけど、泣いちゃダメだと思った。


私は、どうしようもなくバカだ。


バカだから、ダメなんだ。

無謀なことしか思い付かないんだもの。


遠い遠いあの人を、私は、きっと一生忘れられないんだと思う。

これが依存と言わずになんと言おうか。


だけど、いい。


依存だろうが、なんだって、私は仕方のないやつなんだ。




「いつもいつもマヒロくんの優しさに甘えられない。こんな気持ちで、マヒロくんの側にいたら、マヒロくんに失礼だよ。」


「……俺は、いいよ。長期戦覚悟だし」


「…ありがと、でもね、きっと、私は、もっと自分のこと嫌いになってしまうから。」


「いつか、キノのことも忘れられるよ」


「わかってる。こんな気持ちがいつまで続くかなんて、絶対、私は、マヒロくんの側に行かなかったこと後悔すると思う。

だけど、もう、決めたの」



それは、明日かもしれない

三年後かもしれないし

十年後かもしれない。


私が遠い場所にいる彼を思うだけで振り回される日々から抜け出せるのは。

だけど、それでいい。


そうじゃなくちゃいけない。


キノといた日々は嘘なんかじゃない。


私にとっては、かけがえのない大切な宝物みたいな日々だった。

思い出しては鬱になって、悲しくて、泣いても、

私は、あの日々を何度でも思い出す。



それまでは、私は、まだここにいよう。



急いだりしないで

キノの思い出に振り回される

ここにいよう。





「キノが好きなの。どうしようもなく好き。

側に居れなくても、叶わなくてもいい。想うだけならただだから。」