「…お願いだから…なかないでくれない…?」
「ごめ、…なんか、止めかたわからなくて、」
マヒロくんの右手が優しく私の頭の天辺をなでてくれた。
私は必死で涙を止めて、マヒロくんを見上げた。
「やっぱり、優しいねマヒロくんは」
「そんなことないから。…好きだからでしょ」
「え?」
「え?じゃないよ。俺、告白したんだけど、…まあ、期待してないからいいよ」
「…あ……、」
まだ、信じられない。
マヒロくんが私を好きだなんて。
私は、いったいこれまで、どれだけの人を傷つけたんだろう。
エリちゃんは、知っていたんだ。
やっぱり、私は、バカだ。
「……私、マヒロくんに好かれる資格ないよ。私、一瞬でもマヒロくんがいなかったらなんてバカみたいなこと考えたりしたよ?」
「間違いじゃないから仕方ないよ。ごめんね」
「それに、私、キノのこと引きずりまくってるし、」
「それでもいいよ。…正直、あまり良くないけど、俺がキノの代わりに高橋さんの側に居られるなら
なんだっていいよ」
「だいたい、私、暗いし、可愛くないし、マヒロくんと釣り合わない、」
「うん。いいよ、好きだから」
「マヒロくんてワケわかんないね!!」
思わず大きな声で突っ込んでしまった。
マヒロくんはプッと吹き出して、笑い出した。
そのとき私の涙はほとんど止まっていた。
マヒロくんの手がまた、私の頭をなでてくれて、
かがんで顔をのぞかれる。
「ワケわかんなくてけっこー、俺は高橋さんが好き。一番好き。
だから、付き合ってみよう」