「フーちゃん!リンゴ飴あるね!」
「そうだね。きれい」
「買う?」
「エリちゃんの好きにしたらいいよ」
エリちゃんはそわそわしながらリンゴ飴を買いに走っていった。
初詣なんて、初めてだ。
エリちゃんに誘われなければもちろん行くわけもなかった。
どうせいつも正月は家でだらだらしているから
体を動かすためにもと行くことにした。
けど、思った以上に人が多くて、すでに少しめんどくさくなっている。
人混みは昔から苦手だ。
まあ、エリちゃんが楽しそうならそれでいい。
周りを見渡してみるけど、知り合いはいないみたいだ。
こんなにたくさんいれば一人や二人、居てもいいのに案外居ないものだ。
「あ、冬ー」
ドーン、と背中を押されてよろけた。
知り合い一人目発見。
「アザミくん、あけましておめでとう。」
「おめでと。一人?じゃないよな」
「エリちゃんいる。リンゴ飴買いにいった」
「ふーん。おごってやろーか?」
いや、と手と首をふるとアザミくんはあたりを見回した。すると慌ててこちらを向いた。
「人、多いな。」
「初詣だから」
「なあ、俺も一緒に回っていい?」
「…なんかあった?」
「はは…」
ちらちらと目を離しては何かの様子を伺っている。その目線の先を追ってみてみると、見覚えのある女の子が二人いた。
知り合い2組目発見…