けどこれでもう本当に、キノとの関わりがなくなる。
そういえば


まだちゃんとお別れを言っていない。



「ったく、また逃げやがったあいつ」


「…アザミくん」


アザミくんは、深くため息をつきながら相変わらず柄の悪そうな座り方をしている。

アザミくんは、キノの引っ越しで変わったりしないのかな。


「まあ、冬もこれでせいせいするだろ」


「……うん」


とりあえず頷いて流す。

せいせい、するかなと思っていた。

実際、そんな気持ちはわかなくて。
胸がざわついている。


真っ白な心が
段々と揺れ動き始めているのが自分でもわかった。

もうキノに会うことはないのだろう。


不思議だ。


ほんの少し前まで、なくてはならない存在で、

大切で愛しい存在だった。

こんな簡単に変わるものなのかな。


私は、もうそんな感情持っていないのかな。


キノのいない教室


いつもその先にあった背中は

もう見ることもないのだろう。


また、いつもの日常が始まった。

授業中、雪はしんしんと降り積もり

帰る頃には風景は一面雪で真っ白に覆われていた。




一人の帰り道も
もう、なれた。