どうでもいい日が淡々と進んでいくと、段々と日常が戻ってきた。

エリちゃんとも元に戻った。

アザミくんもおはようぐらいは言うようになった。


まあ、それぐらい。


キノは


もう視界になんかいれなかった。


考えないことにした。


そうして、また、時間がたって、

秋っていうには寒い季節がやってきた。

教室にやっとついたヒーターに皆群がって、
窓際は少し騒がしくて。

キノのことは考えたくないけど、
一度だけ会話をした。

会話といっても事務的なもので、
キノが私に日直の冊子を渡したときだ。

私はありがとう、と目を合わせずに言った。


気にしないことにした。

あっちもそうしていたから、こっちも意地でも頭から、視界から追い出して、もう何もなかったことにしてやろうと思うくらい

落ちていた。


だけど




ある、寒い、寒い日。












初雪が降ると同時に、



キノが忽然と姿を消したのだった。