後ろから首に腕を巻き付けていたエリちゃんがおろおろと腕をゆるめた。



「フーちゃん、一週間話してくれなかったから嫌われたのかと…」


「え?そうだっけ」


「そうだよ。何回よんでも上の空でほんとに嫌われたかと思っちゃった」


「ごめん、好きだよ」


「えっ、ぁ、うん、ありがとう…じゃなくて、どうしちゃったのいったい!」


「まあそれなりに色々と」


ずるずると椅子の背もたれに倒れていく。
窓の外に目をやると、もう葉のない木がゆらゆらと揺れていた。

エリちゃんの心配そうな顔が目に入る。




「キノくん……?」


「…良かったら、もう少し放っておいてくれたら嬉しいなぁ」


「……わかった。だけど、整理ついたら絶対に相談してね」


「わかったよ」



エリちゃんを黙らせて、私はまた一人で殻にこもった。
このまま一生喋りたくない。
セミみたいに土の中で生きたい。

毎日毎日そうやって過ごしていたら、さすがにアザミくんは何か察したみたいで何も話しかけてこなかった。

キノに何か言いに行っていた日もあった。

今までなら気になったのに


もうなにもかもどうでもよかった。