じとっと目を細目ながら、まあ、と口を開く。



「つまらない、と思う」


「そっか」



キノは短く返事をすると私の手をぎゅっと握った。

驚いてキノを見上げたけれど、キノは目を前に向けた。

人目のあるところで、あまり手を繋いだりすることがなかったから少し違和感があった。




「ごめん」


「なによ」


「ごめん」




キノのごめんがあまりに暗くて、ドクンッと心臓が大きな波を打った。

つい立ち止まろうとしたけれど

握った手をキノは離してくれず、歩き続けるしかなかった。



やだ、やだ、やだ、やだ


心の中で何度も反復した。
ごめんの意味を知りたくなかった。

ごめんが怖かった。



何かが終わってしまう予感がして、ならなかった。