「…私も」


ぽそっと呟いた。

キノは私の額に自分の額をくっつけて、私の頬を少し撫でてから唇を重ねた。


何度も何度も、ちゅっちゅっと音をたてながら始めは啄むようにキスをして、

甘いキスに切り替わろうとキノの舌が一瞬絡まろうとしたとき、私はキノの胸を押した。


何をしてるのここは車内です。


寝ぼけていたんだ、私は。



「もっと、したい、」


「風邪…うつるし、来たよ、ほら」



バスの前方からこのバスに乗っていた子達が見えた。
キノは口を尖らせながら私から離れた。


エリちゃんがバスに帰ってきてキノを見ると気をきかして席をかわってくれた。

私はキノを窓際に座らせてやった。
景色を見たいだろうから。


皆が帰ってきてバス内がざわざわし始めるとキノは一言も話さなくなった。


眠たいのか、昨日のことのせいか。

だけど、昨日の別れ際にキノは少し笑っていた。


だからもう怒ってはいないはず。


さっきも普通だったしね。