もう一度寝ようと窓に寄りかかるとバスの階段をのぼる音がした。
そして、隣の席に腰を下ろしたのでエリちゃんが帰ってきたのだと思いながら隣を見た。



キノだった。





「………は?キノ?」


「タカ」



え、君、博物館組でしょ。なんでここにいるの。
おかしいじゃんか。


「来ちゃった」


「来ちゃったじゃないよ、ダメじゃん、来ちゃ」


「先生たちが話し合って、あっちのバス人いっぱいだから少しこっちに移動させることになったんだって」

「そうなの?」



確かに、こっちのバスは空いてるからその方がいいかもしれない。

納得しかけていたとき、

キノが私の首に腕をまわした。

そのまま窓に背中が倒れた。



「…キノ、人来るよ」


「まだ来ないよ」


「もうすぐ来るよ」


「タカに会いたくて来た」


う、うーん、と唸る私。

私はとても単純だ。

会いたいとか寂しかったとか言われたらすぐ嬉しくなる。


それはたぶん、私も会いたいと思っていて寂しかったから

同じ気持ちで居てくれたことが嬉しかったからだ。