「フーちゃん寝てた?」


「ううん、もう起きてた」

「私も起きた〜、てか風邪声じゃんか」


「そう?」



エリちゃんの目元が少しだけ赤みを帯びて、長い髪の毛も寝起きだからか整っていない。


へにゃっと笑うエリちゃんは目を擦りながらあくびをした。



「寒いからでれな〜い」


「そうだね」


「フーちゃん、寝起きっぽくない…はきはきしてる…」



だって一時間ほど前から起きていましたもん。


エリちゃんは寒い寒いと言いながらもなんとか腕だけ伸ばしてリュックからくしを取り出して寝転んだまま髪をとかしはじめた。


そうこうしてる間に麻美ちゃんも友紀子ちゃんも起きて身なりを整えだした。

私はなんだか何もすることがなくアウェイな感じになったので、とりあえず顔を洗いに水場へ行った。


顔を洗って深呼吸した。


喉が清々しい空気にさらされて冷たくなる。

しかし、痛い。

風邪じゃなきゃもっと気持ちよかったろうに。



太陽が登り始めていた。



「あ、フユ」



背中に届いた声に振り向くと、アザミくんがいた。

私は急いで顔をふいた。



「おはようアザミくん」


「はよ、寝れたか?昨日、あれ、声大丈夫か?」


「寝れたけど、ちょっと悪化したみたい」


「無理すんなよ今日」


そう言うとアザミくんが掠れた声で笑った。
アザミくんが隣に来て蛇口をひねると水を少し口に含んだ。


皆寝起きだ。


アザミくんも朝は少し髪がはねてるんだな。


キノはいつもどこかしらはねているし、いつも寝起きみたいな顔してる。


いつもしっかり髪を整えているアザミくんなのでなんだか貴重だ。