「冬を送ってもらったお礼よー、いっぱい食べてね」
キノはこくこくと頷いてパクパク箸を進めていた。
私は疲れはてて一人で部屋に戻った。
ぼんやりベッドに横になっていると、程なくしてキノが入ってきた。
キノが横たわっている私の前に座ったので
私は思わずその背中に抱きついた。
なんだかもう
キノに触れていないと不安になってしまうみたいだ。
よかった。無事で。
あー、泣く。
「なんか、飛び込んでよかったわ」
「え?」
「…いや、タカがこんな風にいっぱい抱きついてくれるから、俺幸せ」
「………今日だけ」
「うん、わかってる」
キノが向きを変えてこちらを向くと私の隣に寝転んで背中に手を回された。
向かい合ってお互いきつく抱き締めあった。
今日だけだこんなの。
今日だけ、キノの体温がほしい。
キノは無事だって実感しないと
私は耐えられない。
どこのバカップルの台詞だ。
あなたがいないと生きていけない!あなたは私のすべて!あなたじゃなきゃ嫌!
ああでも今ならわかる、バカップルの言い分が。
その言葉の通りだ。
本当に、その通りだ。
抱き締めている腕を緩めて、キノの額にキスをした。
キノも同じように額にキスしてくれた。
ほっぺたをくっつけあって体温を確認
キノの方が体温が冷たいみたい。
「おかしーね、今日のタカは」
「うん、」
本当にね。
今日はどうかしてるみたいだ。